1行定義
Actor-Criticとは、行動を選ぶ方策(Actor)と、行動を評価する価値関数(Critic)を組み合わせ、両方を同時に学習する強化学習の手法のことです。
くわしく
Actor-Criticは、強化学習で、行動を決める役と、その行動を評価する役を分けて、同時に学習させる手法の総称です。Actorは「役者」、Criticは「批評家」という意味です。役者が演じ、批評家が出来を評価し、役者はその評価で演じ方を直す、という分担です。
2つの役割
- Actor:方策
π(a|s)を表し、状態に応じて行動を選びます。方策勾配法でパラメータを更新します。 - Critic:状態価値
V(s)などの価値関数を学び、Actorが選んだ行動が見込みより良かったかを評価します。
方策ベースと価値ベースの考え方を組み合わせた構成です。
評価のしかた
基本形では、TD誤差で評価します。
δ = r + γ × V(s') − V(s)
rは受け取った報酬、s'は次の状態、γは割引率です。「受け取った報酬に、次の状態の見込みを割り引いて足したもの」が、「もとの状態の見込み」をどれだけ上回ったかを表します。たとえばr = 1、γ = 0.9、V(s') = 5、V(s) = 4なら、δ = 1 + 4.5 − 4 = 1.5です。正の値なので、Actorはこの行動を選ぶ確率を上げます。Criticも、このδが小さくなるようにV(s)の見積もりを直します。
REINFORCEとの違い
REINFORCEは、エピソードの最後までの実際の収益で行動を評価します。そのため、エピソードが終わるまで更新できず、評価のばらつきも大きくなります。Actor-Criticは、Criticの見積もりを使って1ステップごとに評価できます。ばらつきは小さくなる一方、見積もりが不正確だと評価に偏りが入ります。
歴史と発展
1983年には、Barto、Sutton、Andersonが、台車の上に立てた棒を倒さないように台車を動かす課題に、この仕組みを応用しています。深層強化学習のA3CやPPOも、この構成を発展させた手法です。Actorが方策を直接表すので、ロボット制御のような連続値の行動も扱えます。
G検定での出題
出題のされ方
方策ベースと価値ベースの考え方を組み合わせた構成である点、Criticの評価(TD誤差やアドバンテージ)でActorを更新する仕組み、REINFORCEより更新のばらつきを抑えられる点、A3CやPPOへの発展が問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| Actor-Criticこのページの用語 | 行動を選ぶ方策(Actor)と、行動を評価する価値関数(Critic)を組み合わせ、両方を同時に学習する強化学習の手法 |
| REINFORCE | 1つのエピソードで得た収益をもとに、収益が大きかった行動ほど選ばれやすくなるよう方策を更新する、方策勾配法の基本的な手法 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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Actor-Criticで、ある行動のあとに計算したTD誤差が正だった場合、Actorはその状態でその行動を選ぶ確率を下げる方向に更新される。
答えを見る
答え × 誤り
TD誤差が正なら、その行動は見込みより良い結果につながったことを意味します。Actorは、その行動を選ぶ確率を上げる方向に更新されます。
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Actor-Criticでは、Critic自身も、TD誤差が小さくなるように価値の見積もりを修正しながら学習する。
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答え ◯ 正しい
Criticの見積もりは、最初から正しいわけではありません。受け取った報酬と次の状態の見積もりに近づくよう、CriticもTD誤差を使って更新されます。
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Actor-Criticでは、Criticの価値の見積もりが不正確だと、Actorが方策を更新する向きがずれることがある。
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答え ◯ 正しい
Actorは、Criticの評価を手がかりに方策を更新します。評価そのものが誤っていれば、更新の向きも偏ります。これはCriticを使うことの代償です。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目9 強化学習)
- Richard S. Sutton, Andrew G. Barto, Reinforcement Learning: An Introduction, 2nd ed., MIT Press (2018) (13.5 Actor–Critic Methods、1.7 Early History of Reinforcement Learning)
- Andrew G. Barto, Richard S. Sutton, Charles W. Anderson, Neuronlike adaptive elements that can solve difficult learning control problems, IEEE Transactions on Systems, Man, and Cybernetics SMC-13(5), 834–846 (1983)
- Volodymyr Mnih, Adrià Puigdomènech Badia, Mehdi Mirza, Alex Graves, Timothy P. Lillicrap, Tim Harley, David Silver, Koray Kavukcuoglu, Asynchronous Methods for Deep Reinforcement Learning, ICML 2016