1行定義
重回帰分析とは、2つ以上の説明変数を使い、目的変数をそれらに係数を掛けて足し合わせた1次式で表して分析・予測する線形回帰のことです。
くわしく
重回帰分析は、売上のように、いくつもの要因が重なって決まる量を予測するための回帰の方法です。説明変数が1つの単回帰分析を、複数の説明変数に広げたものです。
式と偏回帰係数
説明変数がx1, x2, …, xnのとき、y = b0 + b1·x1 + b2·x2 + … + bn·xnの形で表します。各係数を偏回帰係数と呼びます。偏回帰係数は、ほかの説明変数を一定にしたまま、その変数だけを1増やしたときの予測値の変化量を表します。係数は、単回帰分析と同じく最小二乗法で求めます。
たとえば、ある店の1日の販売数y(個)を、最高気温x1(℃)と広告費x2(万円)からy = 50 + 3·x1 + 2·x2と推定したとします。気温30℃、広告費10万円の日の予測は、50 + 3 × 30 + 2 × 10 = 160個です。この式は、広告費が同じなら、気温が1℃上がるごとに販売数が3個増える、と読みます。
使うときの注意点
- 単位の違い:偏回帰係数の大きさは、変数の単位で変わります。影響の大きさを比べるときは、変数を標準化してから求めた標準化偏回帰係数を使います。
- 多重共線性:説明変数どうしの相関が強いと、係数が不安定になり、符号が逆転することもあります。相関の強い変数の一方を外す、リッジ回帰を使う、といった対処をします。
- 変数の入れすぎ:説明変数を増やすと、学習データに対する決定係数は上がるか変わらないかで、下がることはありません。見かけの当てはまりに惑わされないよう、自由度調整済み決定係数やAIC、検証用データでの誤差で評価します。
覚え方
偏回帰係数の「偏」は、偏微分の「偏」と同じく「一部分」の意味です。ほかを固定したときの、その変数の分だけの効き目と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
説明変数が複数あることによる単回帰分析との区別や、偏回帰係数の読み方、説明変数どうしの相関が強いときに起きる多重共線性とその対処が問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 重回帰分析このページの用語 | 2つ以上の説明変数を使い、目的変数をそれらに係数を掛けて足し合わせた1次式で表して分析・予測する線形回帰 |
| 単回帰分析 | 1つの説明変数から目的変数を予測するため、2つの変数の関係を1本の直線(回帰直線)で表す線形回帰 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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重回帰分析では、説明変数を1つ追加すると、学習データに対する決定係数が下がることがある。
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答え × 誤り
追加した変数の係数を0にすれば元のモデルと同じ当てはまりになるため、最小二乗法で求めた決定係数は下がりません。役に立たない変数を加えても上がりうる点に注意します。
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自由度調整済み決定係数は、説明変数の数に応じた補正を加えた指標であり、予測にほとんど役立たない説明変数を加えると値が下がることがある。
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答え ◯ 正しい
当てはまりの改善が、変数を1つ増やしたことによる補正を下回ると、値が下がります。説明変数を選ぶときの目安の1つです。
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重回帰分析で、説明変数の広告費の単位を万円から千円に変えて推定し直すと、広告費の偏回帰係数は元の10分の1になる。
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答え ◯ 正しい
同じ広告費でも千円単位では数値が10倍になるため、予測値が変わらないように係数は10分の1になります。係数の大きさだけでは影響の大小を比べられない理由です。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目7 教師あり学習)
- Gareth James, Daniela Witten, Trevor Hastie, Robert Tibshirani, An Introduction to Statistical Learning, 2nd ed., Springer (2021) (3.2 Multiple Linear Regression)
- scikit-learn User Guide, Linear Models (1.1.1 Ordinary Least Squares)