1行定義
リッジ回帰とは、線形回帰の誤差に係数の二乗和を罰則として加え、係数を全体的に小さく抑えて推定を安定させる回帰の手法のことです。
くわしく
リッジ回帰は、線形回帰にL2正則化を加えた手法です。1970年にホーエルとケナードが、説明変数どうしの相関が強いときに係数の推定を安定させる方法として示しました。
式
ラッソ回帰と同じく、二乗誤差の和に罰則を加えたものを最小にします。リッジ回帰の罰則は、係数の二乗和です。
二乗誤差の和 + λ × (w1² + w2² + … + wn²)
λは罰則の強さを決めるハイパーパラメータで、λ = 0なら通常の最小二乗法と同じです。解はw = (XᵀX + λI)⁻¹Xᵀyという式で直接求められます。Xは説明変数を並べた行列、yは目的変数、Iは単位行列です。
多重共線性への効果
気温と冷房の稼働時間のように、互いに強く相関する説明変数があるとします。このような状態を多重共線性と呼びます。通常の最小二乗法ではXᵀXの逆行列の計算が不安定になり、データが少し変わっただけで係数が大きく振れたり、符号が逆になったりします。リッジ回帰はXᵀXにλIを足して計算を安定させ、係数のぶれを抑えます。
バイアスと分散のトレードオフ
罰則を加えると、係数は全体として0の方向へ縮みます。そのため、訓練データへの当てはまりは、通常の最小二乗法より悪くなります。その代わり、学習に使うデータが変わったときの予測のばらつき(分散)が小さくなり、未知のデータに対する誤差が小さくなることがあります。少しの偏り(バイアス)を受け入れて、全体の誤差を減らす考え方です。
ラッソ回帰との違い
二乗の罰則は、係数が0に近づくほど押す力が弱まります。そのため、係数は小さくなっても、ちょうど0にはなりにくい性質があります。すべての説明変数を少しずつ使うモデルになるので、変数を絞り込みたいときはラッソ回帰を使います。どちらも罰則が係数の大きさにかかるので、説明変数を標準化してから使います。
覚え方
「リッジは全員を少しずつ縮め、ラッソは一部を0にする」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
L2正則化を線形回帰に適用したものである点、係数は小さくなるがちょうど0にはなりにくいというラッソ回帰との違い、説明変数どうしの相関が強いときに係数を安定させる効果が問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| リッジ回帰このページの用語 | 線形回帰の誤差に係数の二乗和を罰則として加え、係数を全体的に小さく抑えて推定を安定させる回帰の手法 |
| ラッソ回帰 | 線形回帰の誤差に係数の絶対値の和を罰則として加え、一部の係数をちょうど0にして説明変数を絞り込む回帰の手法 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
リッジ回帰では、λを大きくするほど係数は全体として0の方向へ縮むが、λが有限である限り、係数がちょうど0になることは通常ない。
答えを見る
答え ◯ 正しい
二乗の罰則は、係数が0に近づくほど押す力が弱まるためです。係数をちょうど0にして変数を絞りたいなら、ラッソ回帰を使います。
-
リッジ回帰の係数は、説明変数の行列Xについて、XᵀXにλIを足した行列の逆行列を使う式で直接求められる。
答えを見る
答え ◯ 正しい
w = (XᵀX + λI)⁻¹Xᵀyです。λIを足すことで、XᵀXの逆行列が不安定な場合でも計算が安定します。
-
λを0より大きくしたリッジ回帰は、訓練データに対する二乗誤差の和が、通常の最小二乗法より必ず小さくなる。
答えを見る
答え × 誤り
最小二乗法は、訓練データの二乗誤差の和を最小にする解です。罰則を加えると、訓練データへの当てはまりは同じか悪くなります。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目14 正則化)
- Arthur E. Hoerl, Robert W. Kennard, Ridge Regression: Biased Estimation for Nonorthogonal Problems, Technometrics 12(1), 55–67 (1970)
- scikit-learn User Guide, Linear Models (Ridge regression and classification)
- Ian Goodfellow, Yoshua Bengio, Aaron Courville, Deep Learning, MIT Press (2016) (7.1.1 L2 Parameter Regularization)