1行定義
ノーフリーランチの定理とは、考えうるすべての問題で平均すると、どの最適化や学習の手法も性能が等しくなり、万能な手法はないことを示した定理のことです。
くわしく
ノーフリーランチの定理は、「どんな問題でも最も優れている万能の手法はない」ことを数学的に示した定理です。名前は、「無料の昼食などない」という意味の英語の言い回しに由来します。
定理の内容
WolpertとMacreadyは1997年、最適化の手法について次のことを示しました。考えうるすべての問題について平均すると、どの手法の性能も同じになります。つまり、ある種類の問題で平均より良い成績を出す手法は、別の種類の問題では平均より悪い成績になります。Wolpertは1996年に、教師あり学習のアルゴリズムについても同じ趣旨の結果を発表しています。
ここでの「すべての問題」には、規則性のまったくない、でたらめな問題も含まれます。現実の問題には「近いデータは似た結果になる」といった偏りがあります。そのため、現実の課題で手法ごとに成績の差が出ることは、この定理と矛盾しません。
実務での意味
機械学習の仕事に当てはめると、次のように読めます。
- 1つの案件で成績が良かった手法が、別の案件でも最良とは限らない。
- 手法の良し悪しは、問題の性質との相性で決まる。データや課題についての知識を、手法の選択や設計に活かすことが大切になる。
- 候補の手法をいくつか試し、交差検証などで比べて選ぶ。
ハイパーパラメータの探索も同じです。ある設定がどの課題でも最良になるとは限らないため、課題ごとに検証します。
覚え方
「無料の昼食はない=どこかで得をすれば、どこかで損をする」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
あらゆる問題に最も優れた万能の手法はないという主張の中身と、問題ごとに手法を検証して選ぶという実務上の含意が、オッカムの剃刀などほかの原則との区別も含めて問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ノーフリーランチの定理このページの用語 | 考えうるすべての問題で平均すると、どの最適化や学習の手法も性能が等しくなり、万能な手法はないことを示した定理 |
| オッカムの剃刀 | ある現象を同じ程度に説明できるなら、必要以上の仮定を置かない、より単純な説明を選ぶべきだとする考え方 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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ノーフリーランチの定理は、パラメータの少ない単純なモデルほど汎化性能が高くなることを示した定理である。
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答え × 誤り
単純なモデルを好む考え方は、オッカムの剃刀に近いものです。ノーフリーランチの定理は、すべての問題で平均すると手法どうしの性能に差がないことを示すもので、単純なモデルが常に優れるとは述べていません。
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ノーフリーランチの定理の名前は、「無料の昼食などない」という意味の英語の言い回しに由来する。
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答え ◯ 正しい
There ain't no such thing as a free lunchという言い回しが元です。ある種類の問題で得をする手法は、別の種類の問題でその分の損をする、という定理の内容を表しています。
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ノーフリーランチの定理と同じ趣旨の結果は、最適化(探索)の手法についても、教師あり学習のアルゴリズムについても示されている。
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答え ◯ 正しい
Wolpertは1996年に教師あり学習について、WolpertとMacreadyは1997年に最適化について、それぞれ論文を発表しました。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目16 最適化手法)
- David H. Wolpert, William G. Macready, No Free Lunch Theorems for Optimization, IEEE Transactions on Evolutionary Computation 1(1), 67–82 (1997)
- David H. Wolpert, The Lack of A Priori Distinctions Between Learning Algorithms, Neural Computation 8(7), 1341–1390 (1996)