1行定義
二重降下現象とは、モデルの規模を大きくしていくと、テスト誤差がいったん下がってから上がり、さらに大きくすると再び下がる現象のことです。
くわしく
二重降下現象は、ディープラーニングなどの大きなモデルで観察される、直感に反するテスト誤差の動きです。英語ではdouble descentといいます。
古典的な見方
従来の機械学習では、モデルの規模とテスト誤差の関係はU字型になると考えられてきました。モデルが小さすぎると、データの傾向をとらえきれず誤差が大きくなります。大きくすると誤差は下がりますが、大きくしすぎると訓練データの細かな雑音まで覚え、誤差は再び上がります。これが過学習です。この見方では、ちょうどよい規模で止めるのが最善です。
2回目の降下
ところが、パラメータの数が訓練データの数を大きく上回るニューラルネットワークでも、高い汎化性能を示す例が知られていました。Belkinらは2019年に学術誌PNASに掲載された論文で、U字の山を越えてさらにモデルを大きくすると、テスト誤差が再び下がることを示し、これを二重降下と呼びました。山の頂点は、訓練データをほぼ誤差なく当てはめきれるようになる規模(補間しきい値)の付近に現れます。
Nakkiranらは同じ年に、ResNetなどのCNNやTransformerでも同じ変化を確かめました。モデルの規模を固定して学習のエポック数を増やす場合にも似た変化が見られます。条件によっては、データを増やすとかえって性能が下がることも報告されています。
実務での意味
「大きなモデルは必ず過学習する」とは限らないことを示す現象です。ただし、山が現れる位置や高さはデータやモデルによって変わります。検証データで汎化性能を確かめ、モデルの規模や学習を止める時期を決める手順は、これまでと変わりません。
覚え方
「下がって、上がって、もう一度下がる」。降下が2回あるので二重降下です。
G検定での出題
出題のされ方
古典的なバイアスとバリアンスの考え方(U字型の曲線)との違い、テスト誤差の山が現れる位置、モデルの規模だけでなく学習のエポック数でも起こりうることなどが問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 二重降下現象このページの用語 | モデルの規模を大きくしていくと、テスト誤差がいったん下がってから上がり、さらに大きくすると再び下がる現象 |
| 過学習 | モデルが学習データのノイズまで覚え込み、学習データではよく当たる一方で、未知のデータに対する予測の精度が下がる状態 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
二重降下現象では、テスト誤差が山になる規模の付近で、訓練誤差もいったん大きく上がる。
答えを見る
答え × 誤り
モデルを大きくするほど、訓練誤差は下がり続けてほぼ0になります。下がって上がり、再び下がるのはテスト誤差のほうです。
-
条件によっては、訓練データの量を増やすと、かえってテスト誤差が悪化する場合があると報告されている。
答えを見る
答え ◯ 正しい
Nakkiranらは2019年の研究で、訓練データを増やすと(4倍に増やす場合でも)かえってテスト性能が下がる範囲があることを示しました。データが増えると、テスト誤差の山が現れるモデルの規模もずれるためです。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目16 最適化手法)
- Mikhail Belkin, Daniel Hsu, Siyuan Ma, Soumik Mandal, Reconciling modern machine-learning practice and the classical bias–variance trade-off, PNAS 116(32), 15849–15854 (2019)
- Preetum Nakkiran, Gal Kaplun, Yamini Bansal, Tristan Yang, Boaz Barak, Ilya Sutskever, Deep Double Descent: Where Bigger Models and More Data Hurt, ICLR 2020 (arXiv:1912.02292)