情報サービス企業のV社は、検索拡張生成(RAG)を用いた一般向けの質問応答サービスを開発している。インターネット上の解説記事(著作物)を集めてベクトルに変換したデータベースを作り、利用者の質問に関連する記事を検索して、その内容をもとに回答を生成する。著作権法と文化庁「AIと著作権に関する考え方について」に照らした説明として、最も適切なものを1つ選べ。
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解説
正解 B
この問題の論点:RAGでの著作物利用と権利制限
ポイント
RAGで記事の創作的表現を出力する目的があれば30条の4は適用されず、回答での利用が47条の5の軽微利用に当たるかを検討します。
選択肢ごとの解説
- A
不適切
記事の創作的表現の全部又は一部を出力することを目的とするデータベースの作成は、非享受目的の利用とはいえず、30条の4は適用されないと考えられています。同じ複製でも、目的によって結論が変わります。
- B
適切 正解
47条の5第1項は、検索や情報解析の結果の提供に付随する軽微利用を認めています。「考え方」は、RAG等による回答の生成にもこの規定の適用がありうるとしつつ、軽微利用の程度を超えれば原則として許諾が必要だとしています。
- C
不適切
要約しても、記事の表現上の本質的な特徴を感じ取れる程度に創作的表現が残っていれば、翻案権(27条)などの侵害となりえます。要約という形をとるだけで問題がなくなるわけではありません。
- D
不適切
引用(32条1項)は、公正な慣行に合致し、引用の目的上正当な範囲内で行う必要があります。出典を示しても、記事の大部分を表示して回答の中心にするような利用は、正当な範囲を超えると考えられます。
補足
RAGのためにベクトル化したデータベースを作る際の複製は、回答で元の記事の創作的表現を出力することを目的としない場合には、30条の4が適用されうると考えられています。また、データベースの作成に伴う複製などは、47条の5第2項の準備行為として権利制限の対象となることも考えられます。
試験での狙われ方
AI学習とRAGを比べ、出力の目的によって30条の4が適用されるかどうかが変わる点を問う形で出題されやすい論点です。
参考
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目2 著作権法)
- 著作権法(e-Gov法令検索) (27条、30条の4、32条1項、47条の5)
- 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日) (5.(1) ウ 検索拡張生成(RAG)等について)