1行定義
LeNetとは、ヤン・ルカンらが開発した、畳み込み層とサブサンプリング層を重ねて誤差逆伝播法で学習する、初期の代表的なCNNのことです。
くわしく
LeNetは、ヤン・ルカンらが開発した、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の初期の代表的なモデルです。1989年には、誤差逆伝播法で学習するCNNで郵便番号の手書き数字を認識する論文が発表されました。1998年の論文で示された7層の構成をLeNet-5と呼び、単にLeNetといえば多くはこれを指します。
LeNet-5の構造
LeNet-5は、32×32画素の画像を入力に、次の順で層を重ねます。
- 畳み込み層(C1):5×5のフィルタで、6枚の特徴マップを作る。
- サブサンプリング層(S2):2×2の範囲の平均に学習する係数を掛け、縦横を半分にする。今の平均値プーリングに近い。
- 畳み込み層(C3)とサブサンプリング層(S4):特徴マップを16枚に増やし、同じ処理を繰り返す。
- 畳み込み層(C5)と全結合層(F6)を経て、0〜9の10クラスを出力する。
畳み込みで特徴を取り出し、サブサンプリングで解像度を下げて位置のずれに強くする組み合わせは、今のCNNと同じです。同じフィルタを画像全体で使い回す重み共有により、学習するパラメータは約6万個に抑えられています。
成果と実用化
手書き数字のデータセットMNIST(学習用6万枚、テスト用1万枚)で、LeNet-5のテストの誤り率は0.95%でした。この技術による小切手の読み取りシステムは商用化され、1日に数百万枚を処理したと報告されています。
ネオコグニトロンやAlexNetとの違い
構造の発想は、福島邦彦のネオコグニトロンと共通しています。違いは学習方法です。ネオコグニトロンは正解ラベルを使わない自己組織化で学びましたが、LeNetは正解との誤差から誤差逆伝播法で学習します。
2012年のAlexNetは、この考え方を受け継ぎ、より深い構造、ReLU関数、ドロップアウト、GPUによる学習を組み合わせて、ImageNetの大規模なデータで成果を上げました。
G検定での出題
出題のされ方
誤差逆伝播法で学習する初期のCNNであること、手書き数字の認識に使われたことが問われます。ネオコグニトロンとの学習方法の違いや、AlexNetとの規模・活性化関数・GPUの利用の違いと組み合わせて問われることもあります。
混同しやすい用語
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
LeNetは、2012年のILSVRCで優勝したAlexNetよりも前に発表されたCNNである。
答えを見る
答え ◯ 正しい
LeNetの論文は1989年と1998年に発表されています。AlexNetは、LeNetの考え方を、より深いネットワークと大規模なデータに広げたモデルです。
-
LeNetは、活性化関数にReLU関数を採用し、GPUで学習することで、深いネットワークの学習を可能にした。
答えを見る
答え × 誤り
ReLU関数とGPUによる学習を組み合わせて注目されたのは、2012年のAlexNetです。LeNet-5は、tanh関数を拡大・縮小した、S字形の関数を使っていました。
-
LeNetの技術を使った小切手の読み取りシステムは商用化され、実際の業務で使われた。
答えを見る
答え ◯ 正しい
1998年の論文によると、このシステムは商用で運用され、1日に数百万枚の小切手を読み取っていました。CNNが研究室の外で使われた早い例です。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目6 ディープラーニング)
- Y. LeCun, B. Boser, J. S. Denker et al., Backpropagation Applied to Handwritten Zip Code Recognition, Neural Computation 1(4), 541–551 (1989)
- Yann LeCun, Léon Bottou, Yoshua Bengio, Patrick Haffner, Gradient-Based Learning Applied to Document Recognition, Proceedings of the IEEE 86(11), 2278–2324 (1998) (Abstract、II.A Convolutional Networks、II.B LeNet-5、III.A–B)