1行定義
音声認識とは、人が話した音声をコンピュータで解析し、話された内容を文字列に変換する技術のことです。
くわしく
音声認識は、話し言葉を文字に起こす技術です。会議の議事録づくり、動画の字幕、コールセンターの通話の分析などで使われています。話の中身を文字にする技術で、声の主を特定する話者識別や、文字から声を作る音声合成とは目的が異なります。
処理の流れ
- マイクで拾った音をA-D変換し、数値の列にする。
- 20〜30ミリ秒程度の短い区間ごとにFFTで周波数成分を調べ、MFCCなどの特徴量を取り出す。
- 特徴量の並びから、最も確からしい文字列を推定する。
従来の方式
1952年には米国のベル研究所が、特定の1人が話す数字を聞き分ける装置を発表しています。その後に主流となった方式では、手順3を3つの部品に分けて行います。音素ごとの音の特徴を表す音響モデル、単語を音素の並びに対応づける発音辞書、単語のつながりやすさを表す言語モデルです。音響モデルには長く隠れマルコフモデル(HMM)が使われてきました。2010年代初めには、その一部をディープニューラルネットワークに置き換えて、精度が大きく向上しました。
End-to-Endモデルへ
その後、特徴量から文字列までを1つのニューラルネットワークで直接学習するEnd-to-Endモデルが広がりました。音声のどの区間がどの文字に当たるかを人が与えなくても学習できるCTCや、AttentionやTransformerを使うモデルが代表です。OpenAIが2022年に発表したWhisperは、インターネットから集めた約68万時間の音声と書き起こしで学習し、多くの言語に対応しています。
精度の測り方
認識結果を正解の文と比べ、置換・削除・挿入の誤りの数を正解の単語数で割った単語誤り率(WER)で評価します。単語の区切りが文中に書かれない日本語では、文字単位の文字誤り率(CER)がよく使われます。
覚え方
「音→数値→特徴量→文字」の順に、音を少しずつ文字に近づけると覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
A-D変換と特徴量の抽出から文字列の推定までの流れ、HMMを使う従来の方式からCTCなどを使うEnd-to-Endモデルへの移り変わり、話者識別や音声合成との目的の違いが問われます。
混同しやすい用語
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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正解が10単語の文に対し、認識結果に置換の誤りが1つ、削除が1つ、挿入が1つあったとき、単語誤り率(WER)は30%である。
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答え ◯ 正しい
単語誤り率は、置換・削除・挿入の数の合計を正解の単語数で割って求めます。`(1 + 1 + 1) ÷ 10 = 0.3`で30%です。挿入も誤りに数えるため、100%を超えることもあります。
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End-to-End型の音声認識とは、音響モデル、発音辞書、言語モデルを別々に作り、それらを組み合わせて文字列を推定する方式のことである。
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答え × 誤り
部品を別々に作って組み合わせるのは従来の方式です。End-to-End型は、音声の特徴量から文字列までを1つのニューラルネットワークで直接学習します。
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日本語の音声認識の評価では、単語の区切りが文中に書かれず、区切り方が一通りに決まらないため、文字単位の文字誤り率(CER)がよく使われる。
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答え ◯ 正しい
単語誤り率で評価するには、形態素解析などで文を単語に区切る必要があり、区切り方の違いで値が変わります。文字単位なら、この影響を受けません。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目28 音声処理)
- K. H. Davis, R. Biddulph, S. Balashek, Automatic Recognition of Spoken Digits, The Journal of the Acoustical Society of America 24(6), 637–642 (1952)
- Geoffrey Hinton et al., Deep Neural Networks for Acoustic Modeling in Speech Recognition: The Shared Views of Four Research Groups, IEEE Signal Processing Magazine 29(6), 82–97 (2012)
- Alex Graves, Santiago Fernández, Faustino Gomez, Jürgen Schmidhuber, Connectionist Temporal Classification: Labelling Unsegmented Sequence Data with Recurrent Neural Networks, ICML 2006, 369–376
- Alec Radford et al., Robust Speech Recognition via Large-Scale Weak Supervision (2022) (Abstract(680,000 hours))