1行定義
音声合成とは、入力した文章などをもとに、人の話し声に近い音声の波形を人工的に作り出す技術のことです。
くわしく
音声合成は、文章などの入力から、人の声に近い音声を作り出す技術です。文章を読み上げるテキスト音声合成(TTS:Text-to-Speech)が代表例で、カーナビの案内、駅の放送、スマートスピーカーの応答などで使われています。音声を文字に変える音声認識とは、逆向きの処理です。
処理の流れ
従来のテキスト音声合成は、大きく2段階に分かれます。まず、文章を解析して、読み・アクセント・区切りなどを決めます。日本語では、漢字の読み分けやアクセントの付け方が自然さを大きく左右します。次に、その情報から音声の波形を作ります。
方式の移り変わり
- 波形接続型:録音した大量の音声を細かい断片に分け、文章に合う断片を選んでつなぎ合わせます。肉声に近い音質を得やすい一方、声の調子を自由に変えにくい方式です。
- 統計的パラメトリック型:声の高さや声道の特徴を表すパラメータを、隠れマルコフモデル(HMM)などの統計モデルで予測し、ボコーダで波形にします。声質を変えやすい一方、機械的な音になりがちでした。
- ニューラルネットワーク型:2016年のWaveNetは、波形を1サンプルずつ直接生成し、自然さを大きく高めました。2017年のTacotron 2は、文章からメルスペクトログラムを予測し、WaveNetを改良したボコーダで波形にします。入力は文字の並びで、従来のテキスト解析の多くを学習に任せています。論文では、自然さの評価がプロの録音音声に迫ったと報告されています。
現在は、ニューラルネットワークによる方式が主流です。
社会的な論点
少量の録音から特定の人の声を再現する技術も進んでいます。本人の同意のない声の利用、なりすましによる詐欺、偽の音声によるデマの拡散などが問題になっています。
覚え方
「音声認識は耳、音声合成は口」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
音声認識と逆向きの処理である点、波形接続型と統計的パラメトリック型からWaveNetなどニューラルネットワークによる方式への移り変わり、声のなりすましなどのリスクが問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 音声合成このページの用語 | 入力した文章などをもとに、人の話し声に近い音声の波形を人工的に作り出す技術 |
| 音声認識 | 人が話した音声をコンピュータで解析し、話された内容を文字列に変換する技術 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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従来のテキスト音声合成では、入力した文章の読みやアクセントを解析する処理と、その結果から音声の波形を作る処理を組み合わせる。
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答え ◯ 正しい
日本語では、漢字の読みやアクセントを決める処理が自然さを大きく左右します。そのうえで音響的な特徴を予測し、波形を作ります。
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波形接続型の音声合成は、統計モデルで推定した声のパラメータから波形を計算する方式で、録音した音声の断片は使わない。
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答え × 誤り
波形接続型は、録音した音声の断片を選んでつなぎ合わせる方式です。統計モデルでパラメータを推定するのは、統計的パラメトリック型です。
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Tacotron 2は、文章からメルスペクトログラムを予測し、それをWaveNetを改良したボコーダで波形に変換する。
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答え ◯ 正しい
論文では、聞き手による自然さの評価(MOS)が4.53で、プロが録音した音声の4.58に迫ったと報告されています。