1行定義
paraphrasingとは、文章の意味を保ったまま、類義語への置き換えや逆翻訳などで別の表現に言い換え、学習データを増やすデータ拡張の手法のことです。
くわしく
paraphrasingは、文章の意味を変えずに別の言い方に書き換えて、学習データを増やすデータ拡張の手法です。「駅から近くて便利だ」を「駅に近いので便利だ」と言い換えても、店を褒めていることは変わりません。同じ意味の文をいくつも作れば、ラベル付きの文章を新たに集めなくても、表現の幅を広げられます。
代表的な方法
- 類義語への置き換え:シソーラス(類義語の辞書)を使い、単語を意味の近い語に置き換えます。
- 逆翻訳:文を別の言語に翻訳し、元の言語に翻訳し直します。単語単位ではなく、文全体が書き換わります。
- ルールによる変換:「だ」を「です」に変えるなど、決まった規則で表現を変えます。
- 生成モデル:Seq2Seqのモデルや大規模言語モデルに、言い換えの文を作らせます。
機械翻訳での逆翻訳
逆翻訳は、機械翻訳の学習データを増やす技術としても広まりました。2016年の研究では、翻訳先の言語の文章だけがあるデータを、逆向きの機械翻訳で翻訳元の言語に訳しました。こうして作った人工の対訳を学習に加え、翻訳の精度を上げています。
noisingとの違い
文章のデータ拡張を整理したサーベイ論文は、paraphrasingを、元の文との意味の違いが小さい拡張と位置づけています。単語をランダムに削除したり入れ替えたりするnoisingは、より大きな乱れを許す点で区別されます。ただし言い換えでも、否定の語や程度を表す語が変わると、正解ラベルも変わりえます。作った文を確かめる工程が欠かせません。
覚え方
paraphraseは英語で「言い換える」という意味です。「言い換えのparaphrasing、乱れのnoising」と対で覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
逆翻訳や類義語への置き換えのように、意味を保って表現を変える手法として、文に乱れを加えるnoisingとの対比で問われます。言い換えで正解ラベルが変わらないかの確認も問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| paraphrasingこのページの用語 | 文章の意味を保ったまま、類義語への置き換えや逆翻訳などで別の表現に言い換え、学習データを増やすデータ拡張の手法 |
| noising | 文中の単語をランダムに削除・挿入・入れ替え・置換するなどして、意味を大きく変えない程度の乱れを加えるデータ拡張の手法 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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逆翻訳は、機械翻訳の分野で、翻訳先の言語の文章しかないデータから人工的な対訳の組を作り、学習データを増やす方法としても使われてきた。
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答え ◯ 正しい
2016年の研究では、翻訳先の言語の文章を逆向きに機械翻訳して人工の対訳を作り、学習に加えて翻訳の精度を上げました。
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paraphrasingは単語単位の置き換えに限られ、文全体を書き換える方法は含まれない。
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答え × 誤り
類義語への置き換えのような単語単位の方法に加え、逆翻訳や生成モデルによる書き換えのように、文全体を言い換える方法も含まれます。
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大規模言語モデルに元の文の言い換えを生成させて学習データを増やす方法も、paraphrasingによるデータ拡張の一種である。
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答え ◯ 正しい
生成モデルに言い換え文を作らせる方法は、paraphrasingの代表的な手段の1つです。ただし意味が変わっていないかの確認は必要です。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目25 データ拡張)
- Bohan Li, Yutai Hou, Wanxiang Che, Data Augmentation Approaches in Natural Language Processing: A Survey (arXiv 2021, AI Open 2022) (2.1 Paraphrasing-based Methods)
- Rico Sennrich, Barry Haddow, Alexandra Birch, Improving Neural Machine Translation Models with Monolingual Data, ACL 2016