1行定義
noisingとは、文中の単語をランダムに削除・挿入・入れ替え・置換するなどして、意味を大きく変えない程度の乱れを加えるデータ拡張の手法のことです。
くわしく
noisingは、主に文章のデータ拡張で使われる考え方です。文に小さな乱れ(ノイズ)を加えて、学習データを増やします。「今日はとても暑い」を「今日は暑いとても」と並べ替えたり、「とても」を消したりしても、人は意味を読み取れます。こうして少し崩した文も学習させると、データが増えるだけでなく、乱れた入力に強いモデルになります。
代表的な操作
- 削除:単語をランダムに消す
- 挿入:ランダムに選んだ語を文の中に差し込む
- 入れ替え:2つの単語の位置を交換する
- 置換:単語を別の語や記号、よくある誤字に置き換える
2019年に発表されたEDA(Easy Data Augmentation)は、類義語への置き換え、ランダムな挿入、入れ替え、削除の4つを組み合わせた単純な方法です。5つの文章分類の課題の平均で、学習データを半分だけ使ってEDAで増やすと、全データで通常どおり学習した場合と同じ精度に達したと報告されています。なお、類義語への置き換えは、後述のサーベイ論文ではparaphrasingに分類されています。
paraphrasingとの違い
文章のデータ拡張を整理した2021年のサーベイ論文は、手法をparaphrasing、noising、samplingの3つに分けています。paraphrasingは意味をできるだけ保って表現を変え、元の文からの変化は小さめです。noisingは意味を大きく損なわない程度のノイズを加え、より大きな変化を許します。そのぶん、正解ラベルが変わらないかに注意が必要です。感情分析で「おいしくない」から「ない」を消すと、評価が逆になります。
ほかの分野のノイズ
画像に細かなノイズを加えたり、音声に雑音を重ねたりするのも、同じ発想のデータ拡張です。一方、深層強化学習のノイジーネットワークは名前が似ていますが、重みにノイズを加えて探索を促す仕組みで、データ拡張ではありません。
G検定での出題
出題のされ方
単語の削除・挿入・入れ替えなどで文に小さな乱れを加える手法として、意味を保って言い換えるparaphrasingとの対比で問われます。正解ラベルが変わらないかの注意点も問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| noisingこのページの用語 | 文中の単語をランダムに削除・挿入・入れ替え・置換するなどして、意味を大きく変えない程度の乱れを加えるデータ拡張の手法 |
| paraphrasing | 文章の意味を保ったまま、類義語への置き換えや逆翻訳などで別の表現に言い換え、学習データを増やすデータ拡張の手法 |
| ノイジーネットワーク | ネットワークの重みに大きさを学習できるノイズを加え、その揺らぎによって探索を促す深層強化学習の手法 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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noisingには、学習データを増やすことに加えて、誤字や語順の乱れを含む入力に対してもモデルを頑健にするねらいがある。
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答え ◯ 正しい
人は多少の誤字や語順の乱れがあっても意味を読み取れますが、モデルは戸惑いがちです。乱れた文でも学習させることで、頑健性を高めます。
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音声データに雑音を重ねて学習データを増やす処理は、データ拡張とはみなされない。
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答え × 誤り
音声に雑音を重ねるのも、意味を変えない範囲でノイズを加えて学習データを増やす、代表的なデータ拡張です。画像に細かなノイズを加える方法もあります。
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EDAと呼ばれる文章のデータ拡張は、類義語への置き換え、ランダムな挿入、ランダムな入れ替え、ランダムな削除の4つの操作で文を増やす。
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答え ◯ 正しい
EDA(Easy Data Augmentation)は2019年に発表された単純な方法です。文章分類の課題で、少ないデータでも精度を上げられることが示されました。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目25 データ拡張)
- Bohan Li, Yutai Hou, Wanxiang Che, Data Augmentation Approaches in Natural Language Processing: A Survey (arXiv 2021, AI Open 2022) (2.2 Noising-based Methods)
- Jason Wei, Kai Zou, EDA: Easy Data Augmentation Techniques for Boosting Performance on Text Classification Tasks, EMNLP-IJCNLP 2019
- Ziang Xie et al., Data Noising as Smoothing in Neural Network Language Models, ICLR 2017