ある損害保険会社は、熟練査定担当者の判断基準をif-thenルールにした査定支援システムを保守してきた。ルールは数千件に増えたが例外への追加が続き、担当者自身も判断の理由をうまく言葉にできない場面が多い。そこで、案件の内容と担当者が下した査定結果を記録した過去のデータから学習する機械学習モデルへの移行を検討している。この検討に関する説明として、最も適切なものを1つ選べ。
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解説
正解 C
この問題の論点:知識獲得のボトルネックと機械学習
ポイント
知識獲得のボトルネックは、知識を言葉で書き起こす工程で生じます。機械学習は事例と結果の組から規則性を学ぶため、この工程を経ずに済みます。
選択肢ごとの解説
- A
不適切
知識獲得のボトルネックは計算速度の問題ではなく、専門家の知識を聞き出してルールに書き起こす工程の重さを指します。計算機を速くしても、言葉にならない判断を書き起こす難しさは変わりません。
- B
不適切
学習の手本になる査定結果は、担当者の過去の判断そのものです。記録の誤りや偏りはモデルにそのまま引き継がれるため、データの点検や評価には専門家の関与が欠かせません。知識の書き起こしが、データの整備に置き換わります。
- C
適切 正解
知識獲得のボトルネックは、専門家の知識を言葉にしてルールに書き起こす工程で生じます。機械学習は事例と結果の組から規則性を見つけるため、理由の言語化を経ずに、言葉にしにくい判断の傾向もある程度とらえられます。
- D
不適切
決定木のように規則を読み取りやすいモデルもありますが、ニューラルネットワークなど多くのモデルは判断の根拠を直接は示しません。点検には、説明可能AIの手法などを別に用いる必要があります。
補足
ファイゲンバウムは1977年の論文で、専門分野の知識の獲得が、応用を目的とした知能システムを作るうえでのボトルネックだと述べました。同じ論文では、質量分析のデータから分子の開裂の規則を自動で導くMETA-DENDRALを、知識を自動で獲得する試みとして紹介しています。データから規則を学ぶ発想自体は、エキスパートシステムの時代から研究されていました。
試験での狙われ方
第2次AIブームの課題である知識獲得のボトルネックと、第3次AIブームで機械学習が広がった理由を結び付けて問われやすい論点です。
参考
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目2 人工知能分野で議論される問題)
- Edward A. Feigenbaum, The Art of Artificial Intelligence: Themes and Case Studies of Knowledge Engineering, IJCAI 1977 (3.2 META-DENDRAL)