AI開発企業のN社は、日本語の大規模言語モデルを開発するため、クローラーでWeb上の公開ページを集めて学習用データセットを作ろうとしている。集めるページには、個人のブログやSNSの投稿、掲示板の書き込みも含まれる。現行の個人情報保護法と、個人情報保護委員会が2023年6月にChatGPTの開発・提供事業者(OpenAI)に対して行った注意喚起の内容に照らして、N社の対応として最も適切なものを1つ選べ。
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解説
正解 A
この問題の論点:学習データ収集と要配慮個人情報
ポイント
Web上の情報を学習に使う場合も、要配慮個人情報は原則として本人の同意なく取得できないため、収集の段階で含めない取組が求められます。
選択肢ごとの解説
- A
適切 正解
OpenAIに対する注意喚起は、収集する情報に要配慮個人情報が含まれないよう取り組み、収集後にできる限り減らし、それでも含まれていれば学習用データセットに加工する前に削除などの措置をとるよう求めました。
- B
不適切
個人情報の定義(法2条1項)は、公開されているかどうかで区別していません。特定の個人を識別できれば、Web上の公開情報も個人情報です。法20条2項7号も、公開された要配慮個人情報が個人情報であることを前提にしています。
- C
不適切
同意なく取得できるのは、本人、国の機関、地方公共団体、学術研究機関等、報道機関などが公開している場合に限られます(法20条2項7号)。第三者が掲示板に書き込んだ他人の病歴などは、これに当たりません。
- D
不適切
個人情報を取得したときは、本人から直接かどうかにかかわらず、あらかじめ公表している場合を除き、速やかに利用目的を本人に通知するか公表します(法21条1項)。OpenAIに対する注意喚起も、日本語での通知・公表を求めました。
補足
2026年7月に公布された改正法は、統計作成等(統計作成等と整理できるAI開発等を含む)にのみ利用する場合に、公開されている要配慮個人情報を本人の同意なく取得できる特例を設けました。一定の事項の公表などが条件で、具体的な範囲は委員会規則などで定められる予定です。2026年10月31日時点では施行されていないため、この問題は現行のルールで判断しています。
試験での狙われ方
公開情報を学習データにする事例では、公開と個人情報該当性の関係や、要配慮個人情報を同意なく取得できる範囲が判断の軸になります。
参考
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法)
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」報道発表資料(PDF) (別添2 OpenAIに対する注意喚起の概要)
- 個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索) (2条1項、20条2項、21条1項、57条1項)
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」 (3-3-2 要配慮個人情報の取得、3-3-3 利用目的の通知又は公表)
- 個人情報保護委員会事務局「個人情報保護法等の一部を改正する法律について」(2026年7月) (改正内容1、第1 1 統計作成等)