小売チェーン向けシステムを開発するJ社は、曜日・天候・過去の来客数から店舗の来客数を予測するシステムについて特許出願した。同じ入力から回帰式で来客数を予測するシステムは公知であり、J社の発明は、回帰式を学習済みのニューラルネットワークに置き換えた点だけが異なる。置き換えによる予想を超える効果は示されていない。この出願の特許要件に関する説明として、最も適切なものを1つ選べ。
正解と解説を見る
解説
正解 A
この問題の論点:既存手法の置換と進歩性
ポイント
新規性があっても、公知技術から容易に考えつける置き換えにすぎなければ、進歩性がないとして特許を受けられません。
選択肢ごとの解説
- A
適切 正解
新規性は公知の発明と同一かどうか、進歩性はその分野の通常の知識をもつ者(当業者)が公知の発明から容易に考えつけるかどうかで判断します(特許法29条1項・2項)。公知の手法への単なる置き換えは、進歩性が否定されやすくなります。
- B
不適切
新規性と進歩性は別の要件です。新規性があっても、当業者が公知技術から容易に発明できたものは、進歩性がないとして特許を受けられません。
- C
不適切
先願主義(39条)は、同一の発明について複数の出願があったときに、最先の出願人だけに特許を与えるしくみです。発明が同一でなければ適用されず、公知技術との違いは新規性と進歩性で判断します。
- D
不適切
有利な効果は進歩性を肯定する方向に働く事情ですが、技術水準から予測できる程度の効果では足りません。予測を超える顕著な効果や、公知技術にない入力データの工夫などがあれば、進歩性が認められる余地があります。
試験での狙われ方
新規性・進歩性・先願主義を並べ、事例がどの要件の問題になるかを見分けさせる形で問われやすい論点です。
参考
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目3 特許法)
- 特許法(e-Gov法令検索) (29条1項・2項、39条)
- 特許庁「特許・実用新案審査基準」第III部第2章 新規性・進歩性
- 特許庁「AI関連技術に関する事例について」 (進歩性に関する事例(水力発電量推定システム))