奨学金を給付する財団のX社は、申請書の情報から給付の可否を判定するAIを導入した。男女別、地域別に見た給付と判定される割合は、ほぼ等しくなるよう調整してある。ところが、成績、世帯収入、家族構成がほぼ同じ2人の申請者のうち、一方だけが不給付と判定されたという苦情が寄せられた。この苦情に関する説明として、最も適切なものを1つ選べ。
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解説
正解 B
この問題の論点:個人の公平性と集団の公平性
ポイント
集団ごとの割合がそろっていても、似た個人が似た扱いを受けるとは限らないため、個人の公平性は集団の公平性とは別に検討します。
選択肢ごとの解説
- A
不適切
統計的パリティは、集団ごとに給付と判定される割合をそろえる基準です。集団全体の割合がそろっていても、個々の申請者が条件の似た人と同じように扱われているとは限りません。
- B
適切 正解
苦情は、条件の似た2人の判定が分かれたことを問題にしており、個人の公平性の観点です。この基準を使うには、どの項目がどの程度近ければ似ているとみなすかを、用途に応じて決める必要があります。
- C
不適切
機会均等も、男女という集団の間で真陽性率をそろえる、集団の公平性の基準です。集団の数値をそろえても、条件の似た2人の判定が分かれる問題は残りえます。
- D
不適切
集団ごとに結果を比べるのは集団の公平性です。個人の公平性は、センシティブ属性による分類に限らず、似た人の間で結果がそろっているかを見る考え方で、一般的な指標を定めにくいとされています。
補足
AI事業者ガイドラインの別添は、集団公平性と個人公平性を区別しています。そのうえで、現在広く使われる公平性の評価指標や施策は集団公平性を前提とするものが主流で、当事者個人にとっての正当性が求められる場合は、AIシステムごとに要求を満たす施策を検討する必要があるとしています。
試験での狙われ方
集団の公平性と個人の公平性のどちらが問題になっているかを、苦情や事例の内容から見分けさせる形が考えられます。
参考
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目10 公平性)
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)別添」(2026年3月31日) (別添4 P-3)ⅰ.(コラム17:集団公平性及び個人公平性))
- Dwork, Hardt, Pitassi, Reingold, Zemel, Fairness Through Awareness (ITCS 2012)