ある物流ロボットの新興企業では、倉庫内の在庫配置を計算するソフトウェアは短期間で熟練担当者の計画を上回った。一方、形や硬さの違う商品を箱から1つずつつかみ出すロボットアームは、数年かけても人間の作業者の手際に及ばない。この状況に関する説明として、最も適切なものを1つ選べ。
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解説
正解 A
この問題の論点:モラベックのパラドックス
ポイント
機械にとっては、高度な推論より知覚や運動のような身体的な技能のほうが難しいことがあります。身体性の議論はこの点に注目します。
選択肢ごとの解説
- A
適切 正解
ロボット研究者のモラベックは1988年の著書で、知能テストやチェッカーで大人並みの成績を出すより、知覚や移動で1歳児並みの技能をもたせるほうが難しいと指摘しました。在庫配置とつかみ出しの差はその典型です。
- B
不適切
この事例で難しいのは、物を見分けて力加減を調整しながら手を動かす、知覚と運動の部分です。考慮すべき事柄の範囲を絞るだけでは、こうした身体的な技能は身に付きません。
- C
不適切
物の形や硬さ、すべりやすさなどを記号で書き尽くすことは困難です。ロボット研究者のブルックスは、外界の詳しい記号モデルを作ってから動く方法を批判し、センサーの入力に直接反応する行動を積み重ねる設計を提案しました。
- D
不適切
身体性を重視する立場では、知能は計算の部分だけでなく、身体の形や環境とのやり取りからも生まれると考えます。ハンドの形やセンサーの配置は、つかむ作業の出来を大きく左右します。
試験での狙われ方
身体性は、記号の操作だけで知能を作ろうとする立場との違いや、ロボット研究とのつながりとして問われやすい論点です。
参考
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目2 人工知能分野で議論される問題)
- Hans Moravec, Mind Children: The Future of Robot and Human Intelligence (Harvard University Press, 1988) (p. 15)
- Rodney A. Brooks, Intelligence without representation, Artificial Intelligence 47 (1991)