哲学者デネットは1984年の論文で、時限爆弾のある部屋から予備のバッテリーを取り出すロボットのたとえ話を示した。1台目はバッテリーと爆弾が載ったワゴンごと引き出した。2台目は行動の結果を一つひとつ推論し、壁の色が変わらないことなどを確かめている間に爆発を迎えた。3台目は無関係な結果を無視する仕組みを備えたが、無視すべき結果を探す作業に追われて動けなかった。このたとえ話に関する説明として、最も適切なものを1つ選べ。
正解と解説を見る
解説
正解 B
この問題の論点:デネットのロボットのたとえ
ポイント
フレーム問題の難しさは、無関係な事柄を無視するためにも何が関係するかを判定しなければならない点にあります。
選択肢ごとの解説
- A
不適切
時間で推論を打ち切っても、それまでに調べた結果が関係のあるものだとは限りません。爆弾も一緒に運び出すという肝心の結果を見落とせば、1台目と同じ失敗になります。考える範囲は、時間ではなく関係の有無で絞る必要があります。
- B
適切 正解
3台目は、無関係な結果を1つずつ見つけて「無視するもの」の一覧に加える作業に追われました。何が関係するかを判定すること自体が難しいという、広い意味のフレーム問題の核心を表しています。
- C
不適切
このたとえ話でロボットが行き詰まる原因は、考慮すべき事柄の範囲を決められないことです。記号と実世界の対象との結び付きを問うシンボルグラウンディング問題とは、問題にしている中身が異なります。
- D
不適切
何が関係するかは状況によって変わるため、あらゆる状況に通用する一覧を前もって作ることはできません。たとえ話は、関係の有無の判断を事前に書き尽くそうとする方法の限界を示しています。
補足
フレーム問題は、1969年にマッカーシーとヘイズが、論理で行動とその結果を記述する研究の中で指摘しました。行動で変わらない事柄まで1つずつ公理として書かなければならず、記述と推論が膨大になるという技術的な問題です。デネットのたとえ話は、これを「何が関係するかをどう判断するか」という、より一般的な問題として描いたものです。
試験での狙われ方
爆弾とバッテリーのたとえ話で各ロボットがなぜ失敗したかを問う形や、似た名前の問題と区別させる形で問われやすい論点です。
関連用語
参考
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目2 人工知能分野で議論される問題)
- Daniel C. Dennett, Cognitive Wheels: The Frame Problem of AI, in C. Hookway (ed.), Minds, Machines and Evolution (Cambridge University Press, 1984)
- John McCarthy, Patrick J. Hayes, Some Philosophical Problems from the Standpoint of Artificial Intelligence, Machine Intelligence 4 (1969)
- Stanford Encyclopedia of Philosophy, The Frame Problem