1行定義
ゲート機構とは、0から1の値をとるゲートを情報に掛け合わせ、どの情報をどれだけ通すかを入力に応じて調整する、LSTMやGRUの中心となる仕組みのことです。
くわしく
ゲート機構は、ニューラルネットワークの中で「情報をどれだけ通すか」を調整する仕組みです。RNNの弱点を補ったLSTMやGRUの中心にあります。
門の開き具合を学ぶ
ゲートは、0から1の値をとる「門」のようなものです。値はシグモイド関数で計算し、通したい情報に要素ごとに掛け合わせます。1に近ければほぼそのまま通し、0に近ければほぼ遮断し、中間の値なら一部だけ通します。
大切なのは、門の開き具合が固定ではないことです。ゲートの値は、その時刻の入力と1つ前の時刻の隠れ状態から、時刻ごとに計算されます。計算に使う重みは、ほかの重みと一緒に誤差逆伝播法で学習します。そのため「文の区切りが来たら前の話題を忘れる」といった判断を、データから身につけられます。
LSTMとGRUのゲート
LSTMは、記憶セルに対して3つのゲートを持ちます。
- 入力ゲート:新しい情報をどれだけ書き込むか。
- 忘却ゲート:前の時刻の記憶をどれだけ残すか。
- 出力ゲート:記憶のうち、どれだけを隠れ状態として外に出すか。
1997年に提案された当初のLSTMには、忘却ゲートはありませんでした。2000年にGersらが加えたものです。GRUは、更新ゲートとリセットゲートの2つで、より簡単な構造にしています。
勾配消失を和らげる理由
単純なRNNでは、時刻をさかのぼるたびに重みや活性化関数の微分が掛け合わされ、勾配が急速に小さくなります。LSTMの記憶セルは、前の記憶にゲートを掛けて新しい情報を足す、という足し算中心の経路で更新されます。そのため、必要な情報と勾配を長い時間にわたって保ちやすくなります。
ゲートの考え方は、層をまたいで情報を通すHighway Networkなど、RNN以外のモデルにも使われています。
G検定での出題
出題のされ方
LSTMの入力ゲート・忘却ゲート・出力ゲートや、GRUの更新ゲート・リセットゲートの役割、シグモイド関数を使う理由、勾配消失問題を和らげる仕組みが問われます。
混同しやすい用語
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次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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標準的なLSTMのゲートの値は、学習後に固定される定数ではなく、その時刻の入力と1つ前の時刻の隠れ状態から、時刻ごとに計算される。
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答え ◯ 正しい
学習で決まるのは、ゲートの値を計算するための重みです。ゲートの値そのものは入力に応じて時刻ごとに変わるため、場面に応じて覚える・忘れるを切り替えられます。
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ゲート機構の考え方は、RNN以外のニューラルネットワークでは使われていない。
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答え × 誤り
たとえばHighway Networkは、層をまたいで入力をそのまま通す量をゲートで調整し、深いネットワークの学習を可能にしました。ゲートはRNN以外でも使われる考え方です。
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1997年に提案された当初のLSTMには、忘却ゲートは含まれていなかった。
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答え ◯ 正しい
当初のLSTMは、記憶セルと入力ゲート・出力ゲートで構成されていました。忘却ゲートは、2000年にGersらが加えたものです。現在は忘却ゲートを含む形が標準です。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目22 回帰結合層)
- Sepp Hochreiter, Jürgen Schmidhuber, Long Short-Term Memory, Neural Computation 9(8), 1735–1780 (1997)
- Felix A. Gers, Jürgen Schmidhuber, Fred Cummins, Learning to Forget: Continual Prediction with LSTM, Neural Computation 12(10), 2451–2471 (2000)
- Kyunghyun Cho, Bart van Merriënboer, Caglar Gulcehre, Dzmitry Bahdanau, Fethi Bougares, Holger Schwenk, Yoshua Bengio, Learning Phrase Representations using RNN Encoder-Decoder for Statistical Machine Translation, EMNLP 2014 (arXiv:1406.1078)
- Rupesh Kumar Srivastava, Klaus Greff, Jürgen Schmidhuber, Highway Networks, arXiv:1505.00387 (2015)