1行定義
Dilated Convolutionとは、フィルタの要素の間に間隔を空けて入力に適用することで、パラメータ数を増やさずに受容野を広げる畳み込みのことです。
くわしく
Dilated Convolutionは、フィルタの目を粗くして、広い範囲を一度に見る畳み込みです。Atrous Convolutionとも呼ばれ、同じ操作を指します。Atrousは、フランス語のà trous(穴のあいた)に由来します。
仕組み
Dilated Convolutionでは、フィルタの要素どうしの間に間隔を設けます。間隔の度合いを膨張率(dilation rate)と呼びます。膨張率2なら1画素おき、膨張率3なら2画素おきに値を取り出して計算します。膨張率1なら通常の畳み込みです。膨張率は、設計者があらかじめ決めるハイパーパラメータです。
フィルタの大きさをk、膨張率をdとすると、見渡す範囲は k + (k − 1) × (d − 1) です。3×3のフィルタなら、膨張率2で5×5、膨張率4で9×9の範囲を、9個の重みのまま扱えます。
なぜ使うのか
広い範囲の文脈をつかむには、層を重ねるか、プーリングやストライドで特徴マップを縮めるのが一般的です。しかし層を増やせば計算が増え、縮めれば位置の細かい情報が失われます。
Dilated Convolutionなら、パラメータ数を増やさず、解像度も保ったまま受容野を広げられます。膨張率を層ごとに1、2、4、8と倍にして重ねると、受容野は層の数に対して指数関数的に広がります。
使われている場面
- セマンティックセグメンテーション:DeepLabは、解像度を保ったまま周囲の文脈を捉えるために使います。膨張率の異なる畳み込みを並べるASPPも使います。
- 音声生成:WaveNetは、因果的な畳み込みと組み合わせ、長い波形を少ない層で扱いました。
ストライドとの違い
ストライドは「フィルタをずらす幅」で、大きくすると出力が小さくなります。Dilated Convolutionは「フィルタの内側の間隔」で、出力を間引かずに見る範囲を広げます。
覚え方
「網の目を粗くして、広く見る。網の数は増やさない」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
Atrous Convolutionと同じ操作であること、パラメータ数を増やさずに受容野を広げる仕組み、ストライドとの違い、WaveNetやDeepLabでの使われ方が問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| Dilated Convolutionこのページの用語 | フィルタの要素の間に間隔を空けて入力に適用することで、パラメータ数を増やさずに受容野を広げる畳み込み |
| ストライド | 畳み込みやプーリングで、フィルタを入力の上でずらしていくときの移動の幅 |
| Depthwise Separable Convolution | 畳み込みをチャネルごとの畳み込みと1×1の畳み込みに分け、計算量を減らす手法 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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Atrous ConvolutionとDilated Convolutionは、フィルタの要素の間に間隔を空けて畳み込むという同じ操作を指す、別の呼び名である。
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答え ◯ 正しい
Atrousはフランス語のà trous(穴のあいた)に由来し、DeepLabの論文で使われた呼び名です。シラバスには両方が載っていますが、別々の手法ではありません。
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Dilated Convolutionの膨張率は、フィルタの重みと同じように、学習の過程でデータから自動的に決まる。
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答え × 誤り
膨張率は設計者があらかじめ決めるハイパーパラメータで、学習で更新されるのはフィルタの重みです。膨張率の異なる畳み込みを並べて使う工夫もあります。
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WaveNetは、層ごとに間隔を1、2、4、8と広げたDilated Convolutionを重ね、長い時間の範囲の音声波形を少ない層で扱った。
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答え ◯ 正しい
間隔を倍々に広げると、受容野は層の数に対して指数関数的に広がります。これにより、数千サンプル分の過去を少ない層で参照できます。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目18 畳み込み層)
- Fisher Yu, Vladlen Koltun, Multi-Scale Context Aggregation by Dilated Convolutions (2015)
- Liang-Chieh Chen et al., DeepLab: Semantic Image Segmentation with Deep Convolutional Nets, Atrous Convolution, and Fully Connected CRFs (2016)
- Aaron van den Oord et al., WaveNet: A Generative Model for Raw Audio (2016)