要点まとめ・第5章 ディープラーニングの要素技術
スキップ結合(シラバス 技術21)
学習目標
層を深くすると学習がかえって難しくなる問題に対して、層を飛び越えて入力を出力に足すスキップ結合がどう働くかを理解し、それを使って非常に深いネットワークを実現したResNetの構成と、その考え方が他のモデルにどう広がったかを説明できるようにします。
要点
深くすると学習しにくくなる
層を重ねるほど複雑な特徴を学べるはずですが、単純に層を増やすと、かえって性能が落ちることがあります。ResNetの論文では、CIFAR-10という画像データで、56層の普通のネットワークが20層のものより訓練誤差もテスト誤差も大きくなりました。訓練誤差まで悪くなるので、過学習ではありません。深いネットワークは、うまく最適化すること自体が難しいのです。なお、この実験はバッチ正規化を入れて行われており、論文はこの劣化を勾配消失だけでは説明できない問題としています。
スキップ結合の仕組み
スキップ結合は、いくつかの層を飛び越えて入力をそのまま後ろへ渡し、層の出力に足し合わせる経路です。ショートカット接続とも呼ばれます。
- 普通の層の積み重ね:入力xから、目標の出力H(x)を直接作ろうとします。
- 残差ブロック:間の層はF(x)を作り、ブロックの出力は
F(x) + xになります。間の層が学ぶのは、目標と入力の差F(x) = H(x) − x(残差)です。
この形には2つの利点があります。
- 入力をほぼそのまま通すのがよい場合、F(x)を0に近づけるだけで済みます。層を足しても性能を下げにくくなります。
- 逆伝播のとき、勾配が足し算の経路を通って前の層へそのまま届くため、勾配消失が起きにくくなります。
ResNet
ResNetは、残差ブロックを積み重ねたCNNで、2015年にマイクロソフトの研究者らが発表しました。152層のモデルを含むアンサンブルでILSVRC 2015の画像分類部門に優勝し、CIFAR-10では1,000層を超えるモデルも学習できることを示しました。
- 50層以上のモデルでは、1×1の畳み込みでチャンネル数を減らし、3×3で畳み込み、再び1×1で戻すボトルネック構造で計算量を抑えます。
- 縦横のサイズやチャンネル数が変わるブロックでは、ショートカット側を1×1の畳み込みなどで変換して形をそろえます。
ResNetには、入力から出力まで長さの違う経路が多数あります。そのため、浅いネットワークをたくさん組み合わせたアンサンブルのように振る舞うという解釈もあります。学習後にブロックを1つ取り除いても、性能があまり落ちないことが報告されています。
似た仕組みとの違い
| 仕組み | 入力の合わせ方 | 代表例 |
|---|---|---|
| ResNetのスキップ結合 | 入力を出力に足す | ResNet、Wide ResNet |
| ゲート付きの経路 | 入力を通す割合をゲートで学習する | Highway Network |
| 連結 | 特徴マップをチャンネル方向につなぐ | DenseNet、U-Net |
スキップ結合の考え方は画像以外にも広がり、Transformerでも各層の入力と出力を足し合わせる残差接続が使われています。
つまずきやすい点
- 層を深くしたときの性能低下は、訓練誤差まで悪くなる現象であり、訓練誤差は小さいのにテスト誤差だけが大きい過学習とは別のものである点
- ResNetのスキップ結合は入力を出力に足し合わせ、DenseNetやU-Netは特徴マップをチャンネル方向に連結する、という合わせ方の違い
- 基本のスキップ結合は入力をそのまま渡すだけで重みを持たず、縦横のサイズやチャンネル数が変わる箇所でだけ1×1の畳み込みなどで形をそろえる点
- スキップ結合はResNetだけの仕組みではなく、Transformerの各層にも残差接続として組み込まれている点
シラバスのキーワード
シラバス第1.4版に載っている語をすべて並べています。色のついた語は用語集で解説しています。「2問」などの数字は、その語を扱う練習問題の数です。
練習問題
- #0054 深層化による訓練誤差の悪化 難易度 標準・単一選択 未回答 付箋
- #0381 スキップ結合の働きと応用先 難易度 標準・単一選択 未回答 付箋
- #0382 射影ショートカットの重みの数 難易度 応用・単一選択 未回答 付箋
復習の時期が来た問題と、まだ解いていない問題から順に出題します。
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前後の項目
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目21 スキップ結合)
- Kaiming He, Xiangyu Zhang, Shaoqing Ren, Jian Sun, Deep Residual Learning for Image Recognition (2015)
- Rupesh Kumar Srivastava, Klaus Greff, Jürgen Schmidhuber, Highway Networks (2015)
- Andreas Veit, Michael Wilber, Serge Belongie, Residual Networks Behave Like Ensembles of Relatively Shallow Networks (2016)
- Gao Huang, Zhuang Liu, Laurens van der Maaten, Kilian Q. Weinberger, Densely Connected Convolutional Networks (2016)