要点まとめ・第6章 ディープラーニングの応用例
データ生成(シラバス 技術30)
学習目標
画像・文章・音声などの新しいデータを作り出す生成モデルの仕組みを理解し、GANとその発展形、Diffusion Model、NeRFがそれぞれ何をもとに何を作るのかを区別して、用途に合う手法と利用上の注意点を説明できるようにします。
要点
見分けるモデルと作るモデル
これまで学んだモデルの多くは、入力が何かを見分けるものでした。生成モデルは、学習データの特徴をつかみ、それらしい新しいデータを作り出します。作る対象によって、画像生成、文章生成、音声生成と呼び分けます。
GAN:2つのネットワークを競わせる
敵対的生成ネットワーク(GAN)は、2014年にGoodfellowらが提案しました。
- 生成器:ランダムなノイズを受け取り、偽のデータを作ります。
- 識別器:データが本物か、生成器が作った偽物かを見分けます。
偽札を作る側と見破る側のいたちごっこにたとえられます。生成器は識別器をだますように、識別器はだまされないように学習し、生成器の出力が本物に近づきます。ただし学習が不安定になりやすく、似たデータばかり作る「モード崩壊」も起こります。
GANの発展形
| モデル | 工夫 | 必要な学習データ |
|---|---|---|
| DCGAN | 生成器と識別器に畳み込み層を使い、画像生成の学習を安定させた | 画像の集まり |
| Pix2Pix | 入力画像を条件として与え、別の画像に変換する | 変換前後が対応した画像の組 |
| CycleGAN | AからB、BからAの2方向の変換を同時に学ぶ | 対応のない2つの画像の集まり |
Pix2Pixは、線画から写真、航空写真から地図のような変換に使えます。ただ、対応した組を大量に集めるのは大変です。CycleGANは、変換して戻すと元の画像に戻るという制約を課し、組のないデータから学習します。馬の写真をシマウマに変える例が有名です。
Diffusion Model
Diffusion Model(拡散モデル)は、2つの過程で考えます。
- 拡散過程:画像に少しずつノイズを加え、最後はただのノイズにします。決まった手順なので学習はしません。
- 逆拡散過程:ノイズを少しずつ取り除く手順を、モデルが学習します。
生成するときは、ただのノイズから出発し、逆拡散を何段階も繰り返します。GANより学習が安定し、多様で高品質な画像を作りやすい反面、生成に時間がかかります。Stable Diffusionなど、文章から画像を作るモデルの土台にもなっています。
NeRF
NeRFは、ある場面を複数の視点から撮った写真と、その撮影位置・向きを使って学習します。学ぶのは、空間の位置と見る方向から、その点の色と密度を返すネットワークです。これを使い、撮っていない視点から見た画像を描き出します。学習は場面ごとに行います。
文章生成と音声生成
- 文章生成:大規模言語モデルが、次の語の予測を繰り返して文章を作ります。
- 音声生成:WaveNetのように音声の波形を直接生成するモデルが、読み上げ音声の自然さを高めました。
使うときの注意
生成したデータは、データ拡張やデザイン案づくりに役立ちます。一方、本物と見分けにくい偽の映像や音声(ディープフェイク)の悪用や、学習データの著作権の問題もあり、法律・倫理分野とあわせて押さえます。
つまずきやすい点
- Pix2Pixは変換前と変換後が対応した画像の組を必要とし、CycleGANは対応のない2つの画像の集まりから、変換して戻すと元に戻るという制約で学習する点
- GANの識別器は学習のための相手役で、学習を終えてデータを作るときに使うのは、ノイズを受け取って出力する生成器だけである点
- Diffusion Modelが学習するのはノイズを取り除く逆拡散過程で、ノイズを加える拡散過程は決まった手順のため学習の対象ではない点
- NeRFは撮影位置の分かる複数の写真から1つの場面を学び、撮っていない視点からの見え方を描き出す技術で、写真のない物体を新しく作り出すものではない点
シラバスのキーワード
シラバス第1.4版に載っている語をすべて並べています。色のついた語は用語集で解説しています。「2問」などの数字は、その語を扱う練習問題の数です。
練習問題
- #0075 対応のない画像間の変換 難易度 標準・単一選択 未回答 付箋
- #0076 拡散モデルの生成の仕組み 難易度 標準・単一選択 未回答 付箋
- #0234 GANの生成器と識別器の学習 難易度 標準・単一選択 未回答 付箋
- #0235 生成したいデータと手法の対応 難易度 基礎・組合せ 未回答 付箋
- #0425 NeRFのシーン表現と描画 難易度 標準・単一選択 未回答 付箋
- #0426 DCGANのネットワーク構造 難易度 基礎・単一選択 未回答 付箋
- #0427 文章生成の多様さの調整 難易度 基礎・単一選択 未回答 付箋
復習の時期が来た問題と、まだ解いていない問題から順に出題します。
混同しやすい用語
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出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目30 データ生成)
- Ian J. Goodfellow et al., Generative Adversarial Networks (2014)
- Alec Radford, Luke Metz, Soumith Chintala, Unsupervised Representation Learning with Deep Convolutional Generative Adversarial Networks (2015)
- Phillip Isola, Jun-Yan Zhu, Tinghui Zhou, Alexei A. Efros, Image-to-Image Translation with Conditional Adversarial Networks (2016)
- Jun-Yan Zhu, Taesung Park, Phillip Isola, Alexei A. Efros, Unpaired Image-to-Image Translation using Cycle-Consistent Adversarial Networks (2017)
- Jonathan Ho, Ajay Jain, Pieter Abbeel, Denoising Diffusion Probabilistic Models (2020)
- Ben Mildenhall et al., NeRF: Representing Scenes as Neural Radiance Fields for View Synthesis (2020)
- Aaron van den Oord et al., WaveNet: A Generative Model for Raw Audio (2016)