1行定義
宝くじ仮説とは、ランダムに初期化した大きなネットワークの中に、同じ初期値から単独で学習しても元と同程度の精度に達する部分ネットワークがあるという仮説のことです。
くわしく
宝くじ仮説(Lottery Ticket Hypothesis)は、2018年にFrankleとCarbinが論文で示した仮説です。
主張の中身
ニューラルネットワークは、重みをランダムな値で初期化してから学習します。この仮説によると、大きなネットワークの中には、たまたま学習に適した初期値を引き当てた部分ネットワークが含まれています。それだけを取り出し、同じ初期値から単独で学習させると、元のネットワークと同程度の学習回数で、同程度の精度に達します。これを当たりくじ(winning ticket)と呼びます。
宝くじを多く買うほど当たりを引きやすいのと同じで、大きなネットワークは多くの「くじ」を抱えているため学習がうまくいきやすい、という見方です。
当たりくじの見つけ方
論文では、次の手順で当たりくじを探しました。
- ネットワークをランダムに初期化し、その値を控えておく。
- 学習させる。
- 絶対値の小さい重みを一定の割合だけ刈り込む(プルーニング)。
- 残った重みを、控えておいた初期値に戻す。
- 2〜4を繰り返し、少しずつ小さくする。
MNISTやCIFAR-10を使った実験では、元の10〜20%以下まで小さくした当たりくじが一貫して見つかりました。それより大きい段階では、当たりくじは元より速く学習が進み、テストでの精度も上回りました。一方、同じ構造でも初期値をランダムに選び直すと、性能は落ちました。当たりかどうかは、構造と初期値の組み合わせで決まるということです。
モデルの軽量化との関係
この仮説は、プルーニングで小さくしたネットワークがなぜ精度を保てるのかを考える手がかりになりました。ただし、当たりくじを見つけるには大きなネットワークを何度も学習させる必要があります。学習の手間そのものを減らす方法ではありません。
覚え方
「大きな網は、たくさんのくじを持っている」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
大きなネットワークに当たりくじとなる部分ネットワークが含まれるという主張の内容、元の初期値に戻して学習し直す点、プルーニングとの関係や、蒸留・量子化との違いが問われます。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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元の論文の方法では、当たりくじを見つけるために、まず大きなネットワークを学習させ、その結果をもとに刈り込む重みを決めていた。
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答え ◯ 正しい
学習後の重みの絶対値を見て、小さいものを刈り込みます。そのため、当たりくじを探すだけでは、大きなネットワークを学習する手間は省けません。
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宝くじ仮説の当たりくじは、元のネットワークより重みが少ない分、同じ精度に達するまでにより多くの学習回数を必要とすると報告された。
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答え × 誤り
論文では、当たりくじは元と同程度の学習回数で同程度の精度に達しました。刈り込みすぎなければ、元より速く学習が進むことも報告されています。
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宝くじという名前は、多数の部分ネットワークのうち、たまたま学習に適した初期値を引き当てたものを、当たりくじにたとえたことに由来する。
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答え ◯ 正しい
大きなネットワークほど多くのくじを持ち、当たりを含みやすくなります。大きなネットワークが学習しやすい理由を説明する見方の1つでもあります。